プログラム詳細
慢性硬膜下血腫治療【医療法人徳洲会 岸和田徳洲会病院】
外科
医療法人徳洲会 岸和田徳洲会病院(近畿/大阪府)
軽い頭のケガも要注意 早期治療で血腫を除去
軽い頭部打撲でも発症する慢性硬膜下血腫は、局所麻酔での手術により迅速かつ安全に血腫を除去。早期発見と治療で症状改善を目指します。
- ジャンル
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- 診療科
- 疾病
- 検査項目・治療法・術式
- 部位・臓器
- プログラム概要
- 軽微な頭部打撲も要注意
頭が重たい、片方の手足の力が入りにくい、物忘れがひどくなってきた、意欲や活気がない、といった症状で脳外科外来を受診した患者様の頭部CTを施行すると、脳の表面に古い血液(血腫)を認めることがあります。これは慢性硬膜下血腫と呼ばれるものです。ほとんどは1-2か月前の頭部打撲が原因です。本人やご家族の方がそれほど気にもしていなかったような軽微な頭部打撲でも起こってくることがあります。まれにですが血液をサラサラさせる薬(抗血小板剤や抗凝固剤)を大量かつ長期に渡って内服している方で起こることもあります。
硬膜は頭がい骨の裏側に強固にくっ付いて脳を保護している頑丈な膜ですが、硬膜の一部から脳の表面に橋渡しする静脈(橋静脈)が出ています。頭部を打撲した際に、骨の器に対して中の脳が揺れて動くと、橋静脈が断裂することがあります。静脈性の出血であるため、じわじわと出血してはまた止血されるといったことを繰り返しながら、1-2か月かけて脳と硬膜の間のスペースに古い血腫が徐々に蓄積されていきます。これが慢性硬膜下血腫と呼ばれます。脳委縮が進んできた高齢者に起こりやすい傾向があります。血腫が少量であれば自然消失が期待できますが、ある程度の量を超えると脳の圧排が強くなり、頭痛や片麻痺や認知症状、意欲低下が起こってきます。
自然吸収が期待できない場合には、手術で血腫を取り除く必要があります。慢性硬膜下血腫の手術は局所麻酔で行われます。血腫の上の頭皮を3cmほど切開し、頭がい骨に1円玉程度の穴を開けて、硬膜を切開し、古い血腫を注射器で吸引除去し、その後生理食塩水でしっかりと洗浄します。手術時間は30分ほどで終了し、1週間程度の入院ですみます。手術をしても1割程度の方がすぐに血腫を再発することがあります。
頭部を打撲して、1-2か月してから頭重感、見当識要害、歩行障害ができた場合には慢性硬膜下血腫かもしれません。頭部CTでの検査をお勧めします。
- 実施医療機関
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医療法人徳洲会 岸和田徳洲会病院
〒596-0042
岸和田市加守町4-27-1
- 検査項目
- 設定日
- 設定除外日
- 所要日数 / 時間
- 開始/終了時間
- 受診条件・受診不可項目
- 【受入条件】
1. 診療情報:
- 診断名(慢性硬膜下血腫など)
- 症状の詳細(頭痛、片麻痺、認知機能の低下、意欲低下など)
- 他院での検査結果(CT、MRIでの血腫確認)
- 併存疾患の有無(糖尿病、高血圧、心疾患など)
2. 治療歴の有無:
- 過去の頭部外傷や手術歴、脳外科治療歴
- 使用中の薬剤(抗血小板薬、抗凝固薬など)
- アレルギーや薬物反応の有無
3. 年齢および体力:
- 高齢者や併存疾患を持つ患者で、手術や麻酔に耐えられるかの確認
- 局所麻酔での手術が可能かどうかの評価
4. 症状の進行度と緊急性:
- 血腫による症状の進行度(頭痛、片麻痺、見当識障害の有無)
- CTやMRIで確認された血腫の大きさや圧迫具合の確認
5. その他条件:
- 血圧管理や抗血小板薬の服用管理が可能であること
- 術後の入院・フォローアップに協力可能であること
- 注意事項・禁忌事項
- 【注意・禁忌事項】
1. 治療の適応外となるケース:
- 重度の併存疾患(心疾患、未治療の感染症、腎不全など)により手術や麻酔リスクが高い場合、治療が制限されることがあります。
- 抗血小板薬や抗凝固薬の服用を中止できない場合、出血リスクが高まるため治療が制限される可能性があります。
2. 血腫再発リスク:
- 手術後、約10%の患者で血腫の再発が見られることがあるため、再手術の可能性について理解が必要です。
- 抗凝固薬の長期使用が必要な患者では再発リスクが高くなります。
3. 術後合併症リスク:
- 手術によって感染、出血、血腫再発などのリスクがあり、特に高齢者では慎重な術後管理が求められます。
- 脳の圧迫が急激に解除されることで、術後に一時的な頭痛やめまいが発生する場合があります。
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【事前に伝えておくべき諸注意】
1.術前準備:
- 抗血小板薬や抗凝固薬の中止について医師の指示を守り、出血リスクに備えます。
- 術前のCTやMRI検査で血腫の状態や手術適応を確認することが重要です。
2. 術後のケアとフォローアップ:
- 手術後は、感染予防と出血管理が大切であり、頭痛やめまい、感染症状があれば速やかに医療機関に連絡
- 術後は1週間程度の入院が必要で、その後も外来で定期フォローアップ
3. 生活習慣と日常の注意:
- 退院後は、頭部に強い衝撃を与えないよう頭部保護
- 血圧管理や、禁酒・禁煙などの生活習慣改善
4. 定期的なフォローアップ:
- 退院後もCTやMRIでの経過観察が必要であり、術後の血腫や脳圧の状態を確認します。
- 定期的な外来受診を忘れずに行い、異常があれば速やかに医師に報告
5. 緊急時の対応:
- 退院後、片麻痺、頭痛、意識混濁、歩行障害などの異常が再発した場合、速やかに医療機関に連絡
- 緊急時に対応可能な医療機関や担当医の連絡先を事前に確認