特発性正常圧水頭症治療【医療法人徳洲会 岸和田徳洲会病院】

外科 医療法人徳洲会 岸和田徳洲会病院(近畿/大阪府)

手術で改善が期待できる
治療可能な認知症です

特発性正常圧水頭症は手術で改善が見込める治療可能な認知症です。シャント手術で髄液の流れを整え、歩行や認知機能の改善を目指します。

ジャンル
  • 診療科
    外科
  • 疾病
    その他循環器疾患  その他消化器疾患
  • 検査項目・治療法・術式
    外科手術  セカンドオピニオン  
  • 部位・臓器
    頭頚部 心臓 血管
プログラム概要
手術で治る認知症
最近徐々に歩行がたどたどしくなってきた、物忘れがひどくなってきた、意欲や活気がなくなってきた、トイレが間に合わない(尿失禁)、といってご家族に連れられて外来受診したり、外来に紹介されてくる患者様がいます。頭部CTやMRIを施行してみると、脳室と呼ばれる部分が拡大していることがあります。これは水頭症といわれる病態で、脳の中を流れている「脳脊髄液=髄液」の流れや吸収が何らかの原因で障害されて起こってくる病気です。髄液は脳室と呼ばれる部分で1日に約500mlずつ産生され、脳室を出た後、くも膜下腔と呼ばれる脳の隙間を循環し、最後は脳の頭頂部にあるくも膜顆粒とよばれる部位で吸収されます。常に一定量を維持し、脳や脊髄を覆って保護する役目もあります。この循環のどこかで通過障害や吸収障害が起こると、産生される脳室に影響がおよび、脳室が拡大してきます。髄液吸収障害のはっきりとした原因が分かっていないため、特発性正常圧水頭症といわれています。症状からは一般の認知症状として見逃されていることもしばしばあります。水頭症の中には、手術で髄液の流れを改善すれば症状がよくなるものがあります。特発性水頭症はその一つです。脳で吸収できなくなった髄液を体内の腹腔に流す手術を行います。現在、直接脳室から腹腔に流す「脳室-腹腔シャント術」と腰椎の部分から腹腔に流す「腰椎-腹腔シャント術」の2つの手術方法があります。ともに髄液の流れる程度を微調整するためのシャントバルブを頭皮下あるいは腰部の皮下に埋め込みます。
このような手術で治る水頭症であるかどうかは、決まった「診断基準」が作成されており、この診断基準にのっとって手術適応を決めています。まず外来でMRIにより、脳の形状が特発性正常圧水頭症に特徴的であるかどうかをいろんな方向からの脳の断面で確認します。MRIで特発性正常圧水頭症の可能性が高いと判断された場合、今度は実際に腰椎の部分から髄液を少量抜き取って、髄液を抜きとる前後で歩行障害や認知症の改善が認められるかどうかを比較します。これは「タップテスト」と呼ばれ、入院による検査が必要となります。以上の検査で手術の効果が期待できると判断された場合に、後日改めてシャント手術を行います。シャントバルブは精密な機械のため、MRI等の磁気で設定が狂うことがあります。シャント手術を受けた方は定期的な外来受診で頭部CTによるフォローアップが必要であり、またMRIを受ける際には必ず申し出るようにして下さい。
実施医療機関
医療法人徳洲会 岸和田徳洲会病院
〒596-0042
岸和田市加守町4-27-1 
検査項目
設定日
設定除外日
所要日数 / 時間
開始/終了時間
受診条件・受診不可項目
【受入条件】

1. 診療情報:
- 診断名(特発性正常圧水頭症など)
- 症状の詳細(歩行障害、記憶障害、尿失禁など)
- 他院での検査結果(頭部MRIやCTによる脳室拡大の確認)
- 併存疾患の有無(高血圧、糖尿病、心疾患など)

2. 治療歴の有無:
- 過去の脳外科手術歴やシャント手術の有無
- 使用中の薬剤(抗凝固薬、抗血小板薬など)
- アレルギーや薬物反応の有無

3. 年齢および体力:
- 高齢患者や基礎疾患を持つ患者に対して手術に耐えられる体力の確認
- 全身麻酔が可能かどうかの評価

4. 事前検査:
- 外来でのMRIにより脳の形状を確認し、特発性正常圧水頭症の特徴が認められること
- 「タップテスト」などの診断テストで、髄液排出後に症状の改善が認められるかの確認

5. 腎機能:
- 造影剤使用の可能性があるため、腎機能の評価が必要(腎機能低下の場合、治療方法に制限がかかることがあります)

6. 術後管理とフォロー:
- シャント手術後の定期フォローアップに協力可能なこと
- MRI検査時にシャントバルブに影響が出る可能性があるため、指示に従って外来受診ができること
注意事項・禁忌事項
【注意・禁忌事項】

1. 治療の適応外となるケース:
- 重度の心疾患や腎疾患を有し、手術や麻酔に耐えられない場合は治療が制限されることがあります。
- 全身麻酔のリスクが高い患者や、シャント手術の効果が期待できないケース(タップテストでの改善が見られない場合)も治療適応外となります。
- シャント感染のリスクが高い免疫力の低下した患者は、慎重な対応が必要です。

2. シャント手術に関する禁忌:
- 抗血小板薬や抗凝固薬を服用している場合、手術前に中止が必要で、出血リスクが伴います。
- 造影剤のアレルギーや腎機能低下がある場合は、検査やフォローアップで造影剤が使えないため、治療方法に工夫が必要です。

3. 術後の合併症リスク:
- 感染、血栓、シャント閉塞などのリスクがあり、特にシャント閉塞が生じると髄液排出が妨げられ、再手術が必要な場合があります。
- 水頭症の再発や症状の再発の可能性があり、定期的な経過観察が重要です。

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【事前に伝えておくべき諸注意】

1. 術前準備:
- 手術前には、抗血小板薬や抗凝固薬の中止が必要であり、医師の指示に従って適切に対応します。
- 術前のMRI、CT検査、タップテストなど、治療効果を予測する検査を全て受けるようにします。

2. 術後のケアとリスク:
- シャント手術後は、頭痛、発熱、感染症状に注意し、異常を感じた場合は速やかに医療機関に連絡
- シャントバルブはMRIによる磁気の影響を受ける可能性があるため、MRIを受ける際は必ず医師に申告し、適切なフォローを受けることが必要

3. 生活習慣と日常の注意:
- 術後は、頭を強く打たないよう注意し、シャント機器に物理的な影響を与えないよう生活に配慮
- 感染リスクを減らすため、外出時や傷のケアに注意を払い、衛生管理に努める

4. 定期的なフォローアップ:
- シャント手術後は定期的に頭部CTやエコー検査を受け、シャント機能の確認
- 設置したシャントの状態や機能を確認するため、長期的なフォローアップが必要であり、指示に従って外来を受診

5. 緊急時の対応:
- 退院後、歩行のふらつき、認知症状の悪化、尿失禁などの異常が再発した場合、速やかに医療機関へ連絡
- シャントの不具合や症状の再発が見られる場合、早期に再診が必要であるため、緊急時の対応先や医師の連絡先を事前に確認

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